木綿・麻・レーヨン・紙などが手軽に染められる便利な染料ですが

製造中止になりました。代替はありません。

プロシオンM染料は、木綿、麻、などのセルローズ系の繊維を染色するコールドタイプ(冷浴で染まる)の反応染料です。同じ反応染料のレマゾール染料と比較すると、刷毛染めでは染めムラが出やすく、各種の堅牢度は落ちますが、固着方法が手軽なことと、浸染では、高い温度の染浴が必要ないというメリットがあります。 直接染料に比べると、色相は鮮明で各種の堅牢度は勝っており、蒸しの設備が不要です。
 染色前には、布の前処理をかならず行ないます。布に澱粉糊が付着していたり、未精練であれば、染めムラが出たり、染色濃度が上がらずに、水洗で染料が多く流れ出たりします。

布地の前処理     

 プロシオン染料の鮮明さと、高い吸収性、堅牢度を発揮するためには、被染色物は十分に『糊抜き』『精練、漂白』がなされていることが大切です。布地の前処理が不適当ですと次のような弊害が出ます。

○染めムラが出やすい

○染色濃度が上がらず。水洗時に染料が多く流れる

○染料液の浸透が悪い

○堅牢度が悪い

 ヨードチンキを布の端に一滴落してみます。液がすぐにしみ込み、色が茶色〜薄紫なら糊抜き、精練は必要ありません。濃い紫ならば糊抜き、そして液の浸透が悪い様でしたら未精練かもしれないので精練もしなくてはなりません。

◆糊抜き
 布を温湯に30分間浸け込んでおきます。摂氏70度の温湯1リットルにつき、ラクトーゼLを5〜10gノイゲンSSを5〜10g を溶かした液に1時間浸け込み後、温湯で十分に洗浄します。

◆精練、漂白 
未精練の布は、摂氏90〜100度の熱湯1リットルに対し、ノイゲンSSを5〜10g、苛性ソーダ液を25g溶解し、布地を入れて、30〜60分間十分に撹拌しながら処理します。   

刷毛・筆による染色   

 固着方法には『ソーダ灰固着法』と『プロシオンソーダ固着法』の2種類があります。


【ソーダ灰固着法】


◆ソーダ灰
 プロシオン染料の固着剤に使用します。水、1・に対して、30g を加え、溶解します。
◆尿素 
 プロシオンM染料の溶解剤です。
◆アルギン酸ソーダ
 手描き染め時のニジミ止めや、地染めの地入れ、捺染の糊に使用します。
◆レマフイックス
 耐水、ガス退色堅牢度を向上します。
1)染料の溶解
 プロシオン染料に同量位の尿素を加え、水または微温湯を加えて溶解します。加温はしないで下さい。目安として染料濃度は淡色で 0.3%
( 水1リットルに3g) 、濃色で3%(水1リットルに30g)です。ブラックの濃色に限り5%必要です。プロシオン染料は高反応型のために染料液の保存が出来ませんので、24時間以内に使い切って下さい。
2)染め方
 もち糊を防染に使用した布を引き染めする時は、染色前に水1リットルにアルギン酸ソーダを 5〜10g 加えた地入れ液で塗布、乾燥しておきます。
 刷毛、筆などで染料を塗布し乾燥ののち、溶解したソーダ灰を塗り重ねます。染料の上に防染剤(蝋など)を置くときは、塗布の前にソーダ灰を塗布し乾燥してから防染剤をおきます。
 塗布したソーダ灰溶液が塗れている間に、反応固着しますのでソーダ灰の乾燥は十分に時間をかけて下さい。早く乾燥しすぎますと、水洗で染料の脱落が多くなります。ソーダ灰が乾燥したら次の処理に移ります。
3)後処理
○油性防染剤を使用したときは、パークレンなどで洗浄して防染剤を落します。
○流水で十分に洗浄します。
○未固着の染料を完全に落すために、湯洗を行ないます。ガス湯沸し器の出来るだけ熱い湯を容器で受けながら、その中で染色物を洗浄 します。色が出なくなるまで続けて下さい。
○ソーピングを行なうと更に摩擦堅牢度は向上します。熱湯1・にサンクリンZを5cc 加えて5分間、摂氏90〜100度で処理し軽く水洗します。摂氏50度位の温湯、1リットルにつき、5〜20ccの レマフイックスを加えた液に20〜30分間、漬け込み、軽く水洗して仕上げます。

【プロシオンソーダ固着法】

 プロシオンソーダを使用するとソーダ灰に比べて、反応固着がきわめて短時間 (10〜20分)で終了します。また、比較的水洗時の染料の脱落が少なく、濃度が上がりやすくなります。
但し、反応固着が急激なため染めムラの出る可能性があります。刷毛、筆での染色をプロシオンソーダで固着する時は、前述2)のソーダ灰塗布のところで次の濃度のプロシオンソーダを代わりに塗布します。

 プロシオンソーダ濃度
    濃色→薄めずそのまま使用する
    中色→水で2倍に薄めて使用する
    淡色→水で4倍に薄めて使用する

浸  染

(表1)プロシオン染料浸染処方

 水 (染浴)  布の重量の      20〜40倍

 染 料   布の重量の     〜4%
 無水芒硝  染浴1リットルにつき 3 0〜50g
 ソーダ灰  染浴1リットルにつき  中色・ 5g
                   濃色・10g

1) (表1)により布の重量を計り、水(染浴)、染料、無 水芒硝、ソーダ灰の量を決定します。
2) 決定した水全量に少量の水で溶解した染料を 加え、次 に無水芒硝を加えます。
3) 別の水に布を浸しておき、膨潤しておきます。
4) 「3)」の布を染浴に入れ、染めムラが出来ない様に撹拌しながら常温で30分間染色します。
5) 一旦、布を引き上げて、染浴の中に少量の熱湯で溶解し たソーダ灰を加え、撹拌します。
6) 布を再度、浸け込み、良く撹拌しながら、常温で45〜  50分、染色します。染色後は前項の3)の後処理と同様の 処方を行ないます。