高濃度な藍を、プロはもちろん、初心者でも簡単に染められる

 


 1000年以上の歴史をもつ藍染めは、各地の特産品、伝統工芸品として、また、実用品としても、21世紀間近の現在でも、愛され実用にされています。これは藍の持つ色合いが人間の目に優しく。精神に安らぎを与え、飽きがこず、かつ、使い込むほどに、洗うほどに、味わいのある色合いに変化していく、独特のその特性によるものです。
 インド藍Kは、天然すくも藍、インディゴピュアーなどと同様のインディゴ成分で構成されています。インド藍Kは天然のインド藍をベースにして、溶解に必要なアルカリを添加して、溶解、沈殿、乾燥、固形化、破砕したもので、水で溶解して使用可能です。天然すくも藍に比べて、藍の成分が圧倒的に多く含まれていますので、高濃度の藍液を簡単に作ることが出来ます。さらに、苛性ソーダなどの危険な薬品を使用しませんので、安全に作業が出来ます。インド藍Kは濃く、深みある藍色を簡単に染色できる製品です。

用 途
 通常の藍染めと同様に、主として、木綿、麻の布、糸を染色します。ポリバケツなどを使用し、温度を上げずに常温でつけ込んで染色しますので、無地染めはもちろん、ローケツ染めの蝋や、もちのり、その他の防染剤を使用したもの、しぼり。板締めなどほとんどの、柄加工の処理が可能です。
天然すくも藍などの補充用としても使用できます。


インド藍K 20リットル用セット 内容
  インド藍K 70g(35gx2に分包) ・ ハイドロコンク 70g(25gx2、10gx2) ・ソーダ灰 300g(130gx2、20gx2) ・
天然染料溶解剤MS 300gx2  ・ 酢酸90%  100gx1 ・ 使用説明書1部 

使用しやすいように10リットル単位の藍液を作るのに必要な分量に分けてあります。藍液の管理、補充用のハイドロコンク、ソーダ灰、20リットルの藍液の場合は2倍のインド藍K、各薬品を使用します。藍液の濃度にもよりますが、20-50リットルの藍液が作れます。Tシャツ約20〜50枚、ハンカチ約100枚以上を染めることが出来ます。

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インド藍液の溶解から染色

10リットルの藍液に必要なインド藍Kと薬品

インド藍 K 35g
ソーダ灰      130g
ハイドロコンク 25g
天然染料溶解剤MS 300g

10リツトルの藍液を作るのに必要なインド藍K、各薬品の量です。20リットルの藍液を作る場合は2倍のインド藍 K、各薬品を使用します。

(他に必要な物)

 藍液が十分に入るポリバケツ等 (金属製は避けます)、
保存される場合は、ブラスチック製のゴミ箱--ふた付きのペール 40、60リットル用などがあります--が便利です。
 他にビニール手袋をご用意してください。


参考--木綿や麻の布、糸の前処理---常に必要ではありません

 木綿布には糊付けして仕上げてある布があります。その場合、そのまま染めると、ムラになることがあるので。事前にラクトーゼ Lで糊抜きの処理が必要な場合があります。
ヨードチンキを布の端に一滴落してみます。液がすぐにしみ込み、色が茶色〜薄紫なら糊抜き、精練は必要ありません。濃い紫ならば糊抜き、そして液の浸透が悪い様でしたら未精練かもしれないので精練もしなくてはなりません。布によってはこの作業が必要でないものもあります。
糊抜き
 布を温湯に30分間浸け込んでおきます。摂氏70度の温湯1リットルにつき、ラクトーゼLを5〜10gノイゲンSSを5〜10g を溶かした液に1時間浸け込み後、温湯で十分に洗浄します。

藍を建てる

 藍はそのままでは水に溶けず、ソーダ灰でアルカリ性にし、ハイドロコンクで還元して水に溶解します。インド藍 Kを溶解し、還元されて藍液として使用できる状態になると、青い液から青緑味をおびた黄色い液---菜種色---と称する色に変化します。このように藍の世界では還元された菜種色の藍液に仕上げることを---藍を建てる---といいます。

10リットルの藍液を作る
(5リットルやその他の量の藍液を作る場合は、希望の藍液量に比例してインド藍Kや各薬品を使用します。

1--ポリ容器に、インド藍K、35gを入れ、500 cc程度の摂氏60度の温湯を入れ、良く攪拌して溶解します。ザラザラした藍の粉末が残らないように良く攪拌して溶解してください。
2--摂氏60度位の温湯、9リットルに天然染料溶解剤MSを300g、ソーダ灰を130g入れ、攪拌して、溶解します。
3--2--の液を撹拌しながら、、1--の溶解した藍液を投入して、混合し、藍液とします。
4--静かに3--の液を撹拌しながら、ハイドロコンク 25gを液面に振りかけながら良く攪拌し、溶解します。
5--液面の表面にビニール袋等を密着してかぶせ、空気による酸化を防ぎ、そのままの状態で。30分以上放置すると徐々に藍液が還元され、菜種色になってきます。 

染める

1--染めムラ防止のために水に布を入れ、膨潤しておきます。
2--布を引き上げ、軽く水を切っておきます。
3--藍液表面の泡は軽くすくいとっおきます。
泡が布や糸につくと濃くムラになりますので注意してください。
4--ビニール手袋をはめて、布を藍液の中へ静かに浸け込みます。静かに布を繰りながら布どおしが引っ付かないように均一に漬け込みます。
藍液が空気に触れると酸化が進みますので静かに作業を行います。藍液の中で手荒に布を繰るのは避けます。一回の作業時間は3〜5分位が適当です。それ以上は必要ありません。
5--布を藍液から引き上げて、空気酸化を30分間位行い、発色させます。空気酸化とは、ただ単に布等を広げて、全体を空気に触れさすだけです。布同士でひっついた所がないように、良く広げて、均一に発色させます。最初は黄色ですが、徐々に藍色になってきます。
 防染剤を使っていない加工の場合や水を絞れるような布は。流水で洗いながら、水中酸化も可能です。内容は変わりませんが、藍液が早く薄くなります。ただ、どちらも布が酸化中にひっついたりしないように、注意します。この場合は、水中酸化をして、発色したら、軽く布を絞って、水を切って6--に進みます。
6--良く発色したら4--5--の作業を繰り返して、希望の濃度になるまで3回程度、行程を重ねます。5回程度、染色を繰り返すと、藍液が酸化されて青くなり、染まりつきが悪くなってくることがあります。このときには、後記の(藍液の保守)の作業を行ってください。
7--希望の濃度になったら、水洗を良く行います。
8--湯沸かし器の温湯で色が出なくなるまで良く洗浄します。濃色の場合は水に家庭用の洗濯用粉石鹸を入れた液で良く洗浄します。できれば洗濯用粉石鹸を1リットル当たり3g入れた熱湯で加熱を20-30分行うソーピング処理をすると良い場合があります。
9--酢酸90%を水1リットルに10cc加えた液に5分間程度漬け込み、引き上げ、染色で付着したアルカリ成分を中和します。
10--水で十分に水洗し、乾燥して、アイロンで仕上げます。

参考--特別な処理--常に必要ではありません

濃色の藍は摩擦にあまり強くないので、摩擦堅牢度向上剤ミラコート Aで処理すると良い場合があります。但し、若干、布の風合いを損ねます。
ミラコートAを水10リットルにつき100cc入れ、その液の中へ10分間位浸け込み、電気洗濯機で脱水のみを行い、良く開いて乾燥し、アイロンで仕上げます。

藍液の保守

藍液の色の基本は---菜種色--青緑味をおびた透明な黄色です。液全体を上からみると、泡があるので紺色に見えますが、少量をガラス瓶に入れて見ると菜種色が良く分かります。液面の泡から下の液中は透明な菜種色です---染色するときはこの状態になるように藍液を調整します。


藍液の液面より下の液をガラス瓶に少量取ってみて、藍液の状態をチェックします。

青緑かかった透明な黄色の藍液
薬品は適当です
極端な黄色な藍液
ハイドロコンクが過多で、還元しすぎで染着しにくくなります。--藍液が空気に触れやすく、大げさに攪拌し酸化を進めます。
青色の藍液
酸化されていますので、藍液10リットル当たり、ハイドロコンクを10g程度、藍液に投入して静かに攪拌します。状況により、増減します。
藍液が濁っている場合
ソーダ灰が不足し藍の溶解が落ちている場合です。--藍液10リットル当たり、ソーダ灰を20g程度、藍液に投入して静かに攪拌します。状況により、増減します。

日常的な藍液の調製は次の処方です。
藍液は薬品の量や空気酸化で状態が常に変化します。
染まりつきが悪い、藍液の表面の色が薄い時は、標準としては藍液15リットル当たり

●ハイドロコンク       10g
●ソーダ灰          20g


を溶解します。状況に応じて増減します。
 藍液が青色ですと、酸化していて良く染まらないので、薬品を入れることにより、還元され、菜種色の藍液になります。入りすぎたときは、藍液を大げさにに撹拌し、藍液内部が空気にふれるようにして、酸化を進めると、良好な藍液になります。この菜種色を覚えて置いて、常に手入れをしてやると、長期にわたって、この藍液を使用することが可能になります。時間をかけて様子をみながら、まだ効果が弱いときは 更に加えます。
 染色して消費した藍の成分も補充しなくてはなりません。多くを染色したときや、薄くなったときは、前記の(藍を建てる)の行程を行い、既存の藍液に適時補充します。
 保存するときは、藍液表面の泡を取り、液面に直接にビニールをかぶせて、空気から遮断して酸化から防止し、保存します。藍は生きています。時々の温度、湿度、藍液の状態により、染色結果は変化します。藍液はいたわりながら、手を入れてやると長く使用できます。