染色に使用する各種の刷毛は、毛の種類や組立の方法によって、毛が脱落しやすくなったり、形が崩れたりします。 引き染め用鹿毛刷毛この刷毛は毛に鹿の毛を使用しているために特に腐敗に弱く、刷毛の柄の下部から毛が一定の長さで切れて脱落します。腰があり、かつ保水性が優れている反面、毛の中心が空洞になっているために切れやすくなるようです。 1--刷毛を染料液、糊液や水等の溶液に浸したとき、毛の広がっている部分から柄のに挟まれている部分の奥深くにまで、溶液を良く吸い込みます。新しい刷毛ほど、良く吸い込み、良く含みます。 2--刷毛を使用した後、放置しておくと気温の高い夏季や、暖かい部屋では、柄に挟まれた部分の毛に含まれた水分や糊分などが高い温度で蒸れて腐敗し、毛自体もどんどん腐敗が進みます。毛の構造的に弱い鹿毛は1日で腐り始める場合もあります。柄に挟まれた部分の水分はほとんど乾燥できません。 3--柄に挟まれた部分が腐ってしまえば、全長が長い毛であっても、柄より外の部分との境目で切れて、どんどん脱落します。刷毛の中央部ほど良く蒸れますので腐りやすく、短い毛が止めどなく脱落する状態になります。 刷毛の製作上からは、毛の腐敗に対してはほとんど対策はありません。そこで使用する側としては、毛を腐敗させないようにしなくてはなりません。 その他の刷毛白毛のり刷毛、立刷毛、すじかい刷毛(菱刷毛)などの白い毛は羊毛で作られています。これらは比較的も腐敗には強いのですが、虫に食われることが多くなります。洗い張り用の糊刷毛も同様の扱いをします。新品の場合は防虫剤を入れて保管してください。腐敗する場合もありますので、使用後のものはポリ袋等に入れないで、冷蔵庫保管が腐敗からも安全です。 |